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企 業 財 務 記 事 ウ ォ ッ チ ャ ー 2004年10月


2004年10月30日 NIKKEI NET  「牛角」のレインズ、今期は120億円の最終赤字に

記事要旨:
 焼き肉店「牛角」などを運営するレインズインターナショナルは29日、2004年12月期の連結最終損益が120億円の赤字になりそうだと発表した。8月に子会社にした エーエム・ピーエム・ジャパンののれん代約120億円を一括償却するため特別損失が増える。

コメント:
 IT関連企業の買収で、のれん(連結調整勘定)を一括償却する例は従来からよくあります。けっしてほめられた処理ではないと思いますが、IT企業ののれんにはバブルの部分が相当含まれていると考えれば、納得できないこともありません。しかし、コンビニ・チェーンののれんの 効果の発現する期間(資本連結手続実務指針31項)が1年にも満たないというのは、少し無理があります。それとも、連結財務諸表原則の「計上後20年以内」という規定に違反していないから認められるという説なのでしょうか。
 のれんは、効果の発現する期間で償却してもいいし、一括償却してもいいとなると、米国基準や国際会計基準のように償却禁止とした方が、恣意性が働かないだけましのような気もします。

2004年10月30日 日経  三菱重工 9月中間最終損益 赤字215億円

記事要旨:
 三菱重工業が29日発表した2004年9月中間連結決算は、最終損益が215億円の赤字と前年同期に比べ赤字幅が111億円拡大した。 特別損失に計上した製品アフターサービス関連の引当金 や固定資産の減損処理費用がかさんだ。

コメント:
 三菱重工業のホームページから決算短信をみると、製品アフターサービス関連の引当金というのは、 製品保証引当金 のことで、同社は会計方針を変更して当中間期に初めて計上しています(期首における金額108億円を特別損失計上)。
 決算短信によると、変更の理由として、製品保証費用の増加 と、当該費用を 合理的に見積もることが可能となった ことを挙げています。しかし、前期末時点で108億円もあったわけですから、前期決算でも十分大きな金額であり、また、三菱重工のような歴史ある一流メーカーがこれまでアフターサービスの費用を見積もることができなかったというのも不自然な話です。我が国の引当金の会計基準が、うまく機能していないのではないかと思わせる事例のひとつといえそうです。
 いずれにしても、より合理的な方法への変更ですから、変更理由が少し頼りないものであっても認めるべきなのでしょう。ただ、問題は期首分を特別損失処理するのがいいのかどうかということです。もちろん現行の基準では、特別損失に計上するしかありませんが、本来は、過年度の数値をリステートすべき(そうなれば過年度の営業費用が売上と対応した正しい数値となる)だと思います。

2004年10月27日 北国新聞ホームページ  三谷産業、社内規定違反し取引 特別損失39億円を計上  

記事要旨:
  三谷産業(金沢市)は26日、情報システム事業部が過大計上した売上と利益の処理に伴い39億1700万円の特別損失が発生、2005年3月期の純損益が赤字に転落すると発表した。
 過大計上は、2000年6月に就任した情報システム事業部部長がリース契約を利用し、原価を過小に計上する一方、売上を水増し、利益を先食いする形で続いていた。 違法性はなく、取引先に損害は及ばないとしている。
 元部長が利用したのは転貸リースという取引だ。
 大まかな流れは次のようになる。三谷産業はリース会社に商品を販売 、リース会社がその代金を支払う。この段階で三谷産業の売り上げが立つ。
 リース会社は三谷産業に商品を貸し戻し 、三谷産業はそのリース料を月々支払う。実際に商品を使う顧客企業に三谷産業は商品を賃貸、 顧客企業から入る賃借料などをリース会社への支払いに充てる
 元部長は、商品を使う顧客との契約額より、リース会社との契約額を多く計上 することで情報システム事業部の 売り上げを水増し していた。その差額は今期で損失として処理される。この手の取引は数百件という。

コメント:
 問題となっている取引は、(1)リース会社に商品を販売する取引、(2)リース会社からその商品をリースにより借りる取引、(3)リース会社から借りた商品を顧客に賃貸する取引の3つからできています。このうち、(2)と(3)について、現行のリース会計基準では、 ファイナンス・リースであっても、オフバランス処理(例外処理)を認めています。記事の元部長がやった取引は、そういった現行基準の弱点をついたものといえます。
 もちろん、リース会計実務指針では、(1)と(2)を関連づけて、 セール・アンド・リースバック取引 として網をかけています。具体的には、利益の繰延を強制し、(1)の際に利益が出ないようにしています。転貸リースの場合は、繰延処理しなくてもよいとされていますが、(2)と(3)が おおむね同一の条件であること、取引の実態から判断して売買損益が実現 していると判断されることなどの条件が付いているので、記事のような、リース会社との契約金額と顧客との契約金額が全く異なるようなケースでは、販売益を繰り延べなければならなかったはずです。しかし、会社や監査人に、(2)と(3)はほぼ同じ条件のはずだという思いこみがあったとしたら、見逃してしまう可能性は非常に高いと思われます。
 (2)と(3)を、原則どおり売買処理した場合には非常に明解です。(2)の取引により、リース開始時点でリース会社に対するリース債務が計上され、(3)の取引により、リース会社から買い戻した商品を顧客に販売した代金であるリース(割賦)債権が計上されます。リース債務とリース債権に差が出てくれば、その時点でおかしいということがわかります。
 ややこじつけていえば、記事の会社は、リース会計基準の不備のために多額の損失を負ってしまったのです。

2004年10月22日 日経  アソシエント粉飾決算 前社長「予算達成に重圧」

記事要旨:
 粉飾決算が発覚した東証マザーズ上場のアソシエント・テクノロジーの成重健二前社長は21日、日本経済新聞社の取材に「 予算達成の重圧があった」と動機を語った。
 同日のアソシエントの会見などによると、同社は9月に発表した2004年7月期決算で一括して 原価に計上すべき経費を次の案件に付け替える などで純利益を約1億7000万円水増しした。利益操作を主導した成重前社長らが20日付で辞任した。
 アソシエントは2003年6月に上場したプログラム言語「Java」を使うソフト会社。
 上場後、実質的に初の決算となる前期は社内の処理能力を超えた受注残 を抱え、 外注費がかさみ最終赤字が避けられない情勢だった。8月に転換社債型新株予約権付社債、15億円の発行を発表しており、赤字を回避したかったようだ。

コメント:
 この会社のような粉飾はもちろん許されることではありませんが、従来、企業が破綻するまで粉飾決算が明らかにならない例がほとんどであったことを考えると、社内調査で自ら不正を明らかにしたのは、最低限のガバナンスが働いていたといえると思います(新社長の記者会見(22日付日経金融)によると、監査法人から指摘は受けていないそうです)。また、不正が2004年7月期だけだとしたら、有価証券報告書提出前なので、証券取引法違反にはならないかもしれません。強制力のある金融庁の検査を忌避してまで、不良債権を隠そうとしたUFJ銀行より数段ましです。
 粉飾の手口としては、原価を仕掛かり中の案件の中に含めて先送りする、あるいは、簿外にするという単純なもののようですが、会計士は、どの外注費がどのプログラムの制作に必要なものかまでは、なかなかわからないので、会社ぐるみで元資料まで改ざんし、形式を整えていたら、しばらくは発見できなかったかもしれません。会計監査では、経営者などによる不正への対応が、最近特にうるさくいわれるようになっていますが、これは、不正をやる動機と機会が両方そろっていた典型的な事例といえそうです。もっとも、あまりに典型的で、何か裏があるのではないかと疑いたくなりますが・・・。

2004年10月21日 日経金融  ストックオプション費用計上 非公開企業の意見焦点  会計最前線

記事要旨:
 ストックオプションの費用計上を義務付ける会計基準の草案が近く公開される。日本では費用計上が企業業績に与える影響は、ストックオプションが深く浸透している米国に比べて軽微で、会計基準案は大筋で認められそうな情勢。ただ、影響が大きいとされる 非公開企業については、問題点を詰め切れておらず、議論の余地がありそうだ。
 ASBJが非公開企業に適用を検討している本源的価値法 は、付与時点の株価からストックオプションの行使価格を引いた差額を費用として計上する単純な仕組み。
 ストックオプションの費用計上を脚注で義務付けている米国の現行会計基準 では、本源的価値法とブラック・ショールズ式を使った公正価値法を選択することができる。
 本源的価値法の短所は、付与時点の費用がほとんどのケースでゼロになる点。ストックオプションの行使価格は付与時点の株価より高く設定するのが一般的で、株価から行使価格を引いた本源的価値は通常マイナスになるためだ。
 ASBJでは本源的価値法の欠点を補うため、株式を公開した際に改めて評価し直し、費用を計上 する案も検討している。
 会計基準の草案では、本源的価値法について費用計上額を再評価する案と再評価しない案が併記され、まだ最終的な選択はなされていない。

コメント:
 公開会社の場合は、ブラック・ショールズ・モデルのようなストックオプションの時価を求める標準的な方法が確立されていますが、非公開会社の場合は、誰もが納得するような時価を求めることはなかなか難しいと思います。
 そこで、本源的価値法を認めようとしているのでしょうが、 本源的価値法でも株式の時価(公正価値)の算定が必要 であり、これもなかなかやっかいな問題です。現在検討中の米国基準の改訂では、非公開会社の場合は、ボラティリティの要素を除いてオプションの時価を算定するといった案もあったようですが、日本の場合も、ストックオプションの評価として時価(公正価値)法とは別の方法を採用するより、時価法という基準にしておいて、時価算定の方法をある程度広い範囲のものを認めるという方が、基準として理解しやすいし、海外向けにも説明しやすいのではないかと思います。
 株式公開時に再評価して費用計上するという案は、全く費用計上しないよりましかもしれませんが、 過年度に付与したストックオプションの費用まで一挙に公開時点で費用となる というのも、不自然であり、ミスリーディングです。
 なお、記事では、米国基準はストックオプションの費用を脚注すればよい(したがって損益計算書には計上しない)という趣旨のことが書かれていますが、これは誤りです。費用計上は行わなければならないが、費用計上の金額の決め方として、本源的価値法と公正価値法があり、本源的価値法を採用した場合(多くの企業がこちらを採用している)には、公正価値を注記しなければならないというのが、現行の米国基準です。

2004年10月21日 日経  NTT電話加入権 半額の3万6000円程度に

記事要旨:
 NTT東西地域会社は固定電話の新規契約時に利用者が支払う施設設置負担金( 電話加入権 )を来春にも、現在の半額にあたる 3万6千円程度(税抜き)に値下げ することで最終調整に入った。
 今後もさらに追加値下げを実施する計画で、最終的には 5年程度をかけて加入権自体を廃止 する方針。
 Q&A
Q 企業への影響は。
A 資産計上している企業は、損失計上を迫られる可能性 がある。経済界は「税務上の損金算入を認めて欲しい」と要望しており、総務省は財務省とも連携して、対応策を採る方針だ。

コメント:
 電話加入権が廃止になれば(いいかえると施設設置負担金なしにNTTの固定電話に加入でき、負担金を支払わなかった場合の基本料への上乗せもゼロになれば)、 加入権の価値は消滅するので、企業会計上は、損失計上を迫られる「可能性」どころではなく、税務の扱いがどうであれ、 必ず損失計上しなければなりません。
 前にも書いたように、問題は、廃止までの期間において、加入権をどのように会計処理するかです。仮に低価法的に時価で評価するとしても、再調達原価(値下げ後の3万6千円または、電話加入権の相場)と、正味実現可能価額(加入権業者への売却価格)のどちらにするかという問題があります。
 あるいは、従来耐用年数が無限大であるとして減価償却しなかったのを、制度の変更により残存耐用年数が5年間になったと考えて、5年間で償却していく方法もあるでしょう。さらに、過年度分を臨時償却として一時に減額する方法もあるでしょう(この場合、取得時期は個々の加入権によってバラバラでしょうから、厳密にやろうとすると非常に煩雑になります)。
 考え方としては、以上のような低価法的な処理方法と、減価償却として処理する方法がありますが、電話加入権が固定資産であるとすると、減価償却的に処理するのが理屈にあっているような気もします。いずれにしても、個々の企業にとっては、大きな影響はないでしょうから、何らかの簡便な方法で十分だと思います。
 税務上の扱いは、これから決まるようですが、一時期に損金算入することを認めると、おそらく数千億円の税収減になるでしょうから、数年間で償却するような扱いになるのかもしれません。もし廃止しても一切損金算入を認めないような扱いだと、いったん解約してNTTの回線の権利を放棄して、必要であれば新しく回線を契約し直す(その際の電話会社はNTTとは限らない)ことで、損金算入をねらう会社も出てくるでしょうから、NTTには大きなマイナスとなるでしょう。 

2004年10月17日 Yomiuri On Line  配当5億円、コクドに一括送金…西武鉄道の個人名義株

記事要旨:
 西武鉄道が有価証券報告書に株主名義などを虚偽記載していた問題で、グループ会社社員ら約1200人の名義になっていた計約1億株について、同社が毎年、5億円近い 配当金や株主総会の招集通知を株の実質保有者である「コクド」に一括して送っていた ことが16日、関係者の話で分かった。
 関係者によると、西武鉄道は担当部署の総務部株式課などが長年、同社やコクド、プリンスホテルなどのグループ会社の現職社員やOBら約1200人の名義になっていた計約1億株分の配当を、コクドの口座にまとめて振り込んでいた。額は、確認できた1999―2003年度だけで、毎年約4億9600万―4億7000万円、総額約24億2500万円(いずれも税引き後)に上っていた。
 また、株主総会の招集通知も株の名義人である個人の住所ではなく、約1200人分を一括してコクドに送付。西武鉄道社内には、約1200人の個人名と住所を記載した株主名簿も存在していたという。

2004年10月16日 NIKKEI NET 証券監視委、西武鉄道とコクドを調査へ

記事要旨:
 証券取引等監視委員会は、有価証券報告書に大株主の持ち株比率を過小表記した西武鉄道と同事実の発表前に保有株を売却した筆頭株主のコクドに対して調査を開始する方針を固めた。証券取引法が禁止する 有価証券報告書の虚偽記載とインサイダー取引に関与した疑いがあるため。
 西武鉄道の上位10社の大株主の持ち株比率は2004年3月期末で88.57%あったが、有価証券報告書には63.68%と過小に記載した。
 こうした記載を見過ごした会計士事務所 も監視委が調査する可能性がある。

コメント:
 西武鉄道にとってコクドが親会社かどうかは、利益には全く影響しないものの、投資家向けには重要な情報です。また、このケースでは取引所の上場基準に抵触するかどうかという点にも関わってきます。したがって、有価証券報告書の虚偽記載としてはけっして軽微なものではないと思います。
 読売の記事によると、西武鉄道は配当金や招集通知を、名義人ではなく、実質的保有者であるコクドに送っていたそうですから、以前から実質保有者がコクドであることを知っていたのでしょう。会社の責任は明らかです。
 それに対して、監査人(西武鉄道の場合は個人の会計士2名)に責任があるかどうかは微妙なところです。EDINETで訂正報告書をみると、訂正は、大株主の状況や関係会社の状況が主であり、監査人の監査範囲(基本的に連結財務諸表と財務諸表のみ)に含まれる訂正個所はほとんどないようです(関連当事者取引の注記は監査対象)。また、商法計算書類の場合は、営業報告書の中に、親会社との関係や大株主の状況を記載しますが、会計監査人の監査対象は、会計に関する部分に限られています(コクドが親会社かどうかという情報は、会計に関わりがないわけではなく、また、支配株主との取引の注記は監査対象ですが・・・)。
 ただ、新しい監査基準では、監査した財務諸表を含む開示書類(有価証券報告書や商法計算書類)における当該財務諸表の表示と その他の記載内容との重要な相違は、監査報告書に記載することになっており、実際に監査対象である財務諸表以外の箇所も監査人はみているはずです。コクドが親会社であることを知っていたり、あるいは、それが疑われる状況があるのに、会社を指導しなかったとすれば、一定の責任はあると思います。また、知らなかったとしても、毎年数億円の配当金が、株主名簿に記載された株主とは別の相手先に支払われているということに気づけば、監査上の問題事項として、西武鉄道の経営者や監査役に当然報告すべきあり、気づかなかったとすれば監査ミスであると思います。

2004年10月16日 日経  ベンチャーリ営業赤字に FC加盟金の処理変更で

記事要旨:
 ベンチャー・リンクは15日、フランチャイズチェーン(FC)点の出店希望者から受け取る加盟金の会計処理の変更により、2005年5月期の連結営業損益が、15億円の赤字になると発表した。
 ベンチャーリは飲食業などで多店舗展開したい新興企業に代わって、FC出店を希望する事業主(フランチャイジー)を募集するのが主要業務。従来、 フランチャイジーから加盟金を受け取った時点で売り上げ計上していたが、出店できなかった場合に加盟金を返金するケースも発生、損失を計上していた。このため 出店が確定し返金リスクがなくなってから売上高として計上する会計処理方法に変更した。
 今回の会計処理変更で通期の売上高を、前期比51%減の225億円 に下方修正した。会計処理変更による減収は20億円としている。

コメント:
 この会社の営業形態がよくわからないのではっきりしたことは言えませんが、加盟金が入金しただけでは、フランチャイジーに対するサービスの提供が終わったとはいえず、そもそも変更前の基準による売り上げ計上時点が早すぎたのではないかと思われます(同社のプレスリリースでは、『いかなる事情によっても返金しない』という加盟契約書の契約条項から、正当な会計処理の方法だとしていますが・・・)。

参考: ベンチャー・リンクのサイトより(PDFファイル)

2004年10月15日 東京新聞  ダイエー、再生機構活用 監査法人の「最後通告」決め手 決算承認の責任回避へ態度一変

記事要旨:
 ダイエーが一転して産業再生機構の活用を決断した背景に、 監査法人トーマツの”最後通告” が大きく影響したことが分かった。
 関係者によると、ダイエーの監査法人トーマツは13日、「主力3行からの継続的な支援を受けられないなら、中間決算を承認できない」とダイエーに通告した。 決算発表は監査法人の承認がなければできない。発表予定は15日に迫っていた。ダイエーの高木邦夫社長は、延期すれば信用不安につながると判断、やむを得ず機構へ支援を要請したとみられる。
 日本商工会議所の山口信夫会頭は14日の会見で、「突然、監査法人が出てきてとどめを刺した」と批判。その上で「経営判断よりも監査法人の権限が強すぎる」と不信感を示した。さらに財界人からは「(監査法人は)金融庁の指図で動いたのではないか。監査法人が 企業の存続可能性まで判断するなら大問題だ」との声まで出ている。

コメント:
 新監査基準で取り入れられた継続企業の前提に関する開示や監査上の対応では、債務超過や債務不履行など 継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる状況 があった場合に、会社がまず、そういった状況を どうやって解消するかを開示することが求められています。まともな経営者なら、結果としてうまくいかない可能性はあるものの、何らかの解消策を計画し、実施しているはずであり、そのことを正直に開示します。監査人は、開示が適正に行われているかをチェックして、適正に行われていると判断すれば無限定適正意見を出します。監査報告書には、注意喚起のため当該事項を追記情報として記載しますが、無限定適正意見であることに変わりはありません。あくまで、監査人自体が、直接的に企業の存続可能性を判断するわけではなく、会社の取り組みを開示させて、監査人は開示の適正性をみるという枠組みになっています。
 実際、監査報告書に継続企業の前提に関する記載があっても、ほぼ100%無限定適正意見が出されています。会社の開示した解消策がおかしいとして、不適正意見を出したり、意見不表明(以前の意見差し控えにあたる)だったりするケースは、(非公開会社はデータがなくわかりませんが)聞いたことがありません。
 しかし、監査基準では、経営者が疑義を解消させるための 合理的な経営計画等を提示しないとき には、限定を付けるか、意見不表明にしなければならないとされています。ダイエーの場合、本当にトーマツが「最後通告」したとすれば、それは、おそらく、ダイエー側から継続企業の前提に関する疑義を解消すると判断できる計画が提示されなかったからのでしょう。主力取引銀行から支援打ち切りや、法的整理をちらつかされている状態では、会社が提示する計画を鵜呑みにしろといわれても、認めるわけにはいきません。
 ただし、不思議なのは、なぜ、決算発表の段階で「最後通告」したのかという点です。証券取引所のルールに従って行う 決算発表は、監査人の監査の対象外であり、監査人の承認はもちろん不要です(決算発表のあとに監査で間違いが見つかって、訂正したという例はめずらしくない)(したがって「決算発表は監査法人の承認がなければできない」というのはうそ)。監査人の監査報告書が必要となるのは、半期報告書に含まれる中間(連結)財務諸表であり、ダイエーの場合、11月末が財務局への提出期限です。つまり、11月末までに、合理的な経営計画等が監査人に提示されれば(それは当然、産業再生機構を利用する計画でなくてもよい)、継続企業の前提に関する記載を外すことはできないにしても、無限定適正意見(厳密には中間監査の場合言い方が違いますが)にはなっていたはずです。報道によると、10月18日には、再生機構以外のスポンサー候補による入札が予定されていたようですから、そこでよい条件が出て、11月末までに再建の道筋を会社が示すことができれば、監査上も問題なかったはずです。
 社長に正しい情報が伝わらなかったのか、あるいは、再生機構利用を決断した本当の理由が別にあって、単に監査法人を言い訳に使ったのか、いったいどちらなのでしょうか。(多分、 後者だと思いますが・・・。)

2004年10月13日 日経  経産省 日本の会計制度総点検 時価主義など再検討

記事要旨:
 経済産業省は日本の会計制度の総点検に着手する。日本の基準を世界標準に近づける 「会計ビッグバン」の流れを再考 し、時価評価の導入による日本企業への影響を分析する。有識者などを集めて14日に発足する「企業会計研究会」が来春に報告をまとめる。
 今後、適用が予定されている減損会計や企業結合会計についても意見を聞く。「 株式や不動産の短期的な価格変動に左右されやすくなり、必ずしも中長期的な企業の実力や収益力を映さない 」として、時価主義に傾いてきた流れを見直すべきだとの意見が強まる可能性もある。

コメント:
 日本で民間の企業会計設定主体ができてから3年ほど経ち、今なお資金集めで苦労していると聞きますが、今度は経産省がその足を引っ張る組織を税金で作ったようです。新しい会計制度に反対する議論を行う団体があってももちろんかまいませんが、なぜ税金を使って役所がやらなければならないのでしょうか。そもそも、不動産の価格変動が短期的だという認識だから、経産省が介入したダイエーの再建もうまくいかなかったのだと思います。そんな役所が管轄外の分野に手を突っ込んで引っかき回すのはやめるべきです。

2004年10月13日 日経  応用技術 最終赤字3億1000万円 今期、大型案件の採算悪化

記事要旨:
 地理情報システム開発の応用技術は12日、2004年10月期の連結最終損益が3億1000万円の赤字になる見通しだと発表した。主力のGIS関連のシステム開発受注が計画を割り込んだほか、 前期に受注した大型案件の採算悪化で1億6000万円の特別損失が発生する。

コメント:
 受注したシステム開発でいくら大きな利益が出ても、それは営業利益になるはずです。だとしたら、赤字受注の損失だけ、なぜ特別損失に計上し、営業損益から外すことができるのでしょうか。

2004年10月13日 日経  新華ファイナンス 買収テコに成長加速  (トップに聞く企業戦略)

記事要旨:
 金融情報サービス会社、新華ファイナンス(香港)が28日、東京証券取引所マザーズに上場する。 未公開の外国企業が日本の株式市場に上場 する初めてのケースで、今後は海外銘柄が新興市場でも増えそうだ。フレディ・ブッシュ最高経営責任者(CEO)に聞いた。
──日本基準と国際基準の2通りの財務諸表 を作成するのは負担ではありませんか。
 「2種類作成するコストは、1種類だけの場合と比べて 2割増し になる。将来は国際基準だけで済むよう制度が改正されることを望む」
──日本基準だと2004年12月期は11億円強の連結最終赤字と、赤字幅が前期比2.4倍に膨らみそうです。
 「今期に入って米国の金融情報関連会社4社を相次ぎ買収し、 のれん代の償却負担 が重いからだ。 新株発行費も費用処理 する必要がある。むしろ経営成績の尺度としてEBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)に目を向けてほしい」
──登記上の本社はケイマン諸島 。中国の政治リスクを勘案したのですか。
 「理由は3つ。登記時点でどの株式市場に上場するか未定だったので、どの市場を選んでも困らない柔軟な法体系という点を重視した。2つ目は国際展開するうえで便利だと、法律の専門家から助言されたこと。3つ目は租税回避地だから」

コメント:
(作成中) 


2004年10月12日 日経夕刊  UFJ銀 「飛ばし」資料も隠す 不良債権処理先送り発覚恐れ?

記事要旨:
 UFJ銀行の検査妨害事件で、金融庁の検査前に同行が隠した資料の中に、大口融資先の経営状況をよく見せかけるために不良債権化した資産を他社に買い取らせた「飛ばし」に関する資料が含まれていたことが12日、関係者の話で分かった。
 関係者によると、「飛ばし」は同行が不良債権の 受け皿となる関連不動産会社に新規融資 し、不動産会社が 大口融資先の抱える不動産を実勢価格より高値で買い取る 形で実施されたという。
 「飛ばし」で不動産を高値売却した大口融資先は10社以上といい、 不動産の売却代金は同行からの借入金の返済に充てていた
 同行内には「売買価格が割高かどうかは当事者が判断すること」などとして問題視しない意見もあったとされる。

コメント:
 記事のような「飛ばし」があれば、いうまでもなく銀行の粉飾決算であり、税務的には、高値で不動産を買い取った会社から融資先への寄付金になるはずです。また、高値の取得であることがわかっていながらその資金を融資したとしたら、銀行に対する背任行為です。
 山一、長銀、日債銀の教訓はどこへ行ってしまったのでしょうか。

2004年10月9日  Yahooニュース  電話加入権2011年めどに廃止へ NTT東西

記事要旨:
 NTT東日本、西日本は8日、電話加入権を 2011年 をめどに廃止する方針を固めた。これまでに受け取った負担金は一時金であるとして返金に応じない方針。加入権は市場で売買されているほか、企業会計上は、価値が劣化しない無形固定資産として計上されており、廃止によって加入権が無価値になると、影響が大きい。
 このため、総務省はNTT東西に対し、加入権獲得のために必要な現行の負担金7万5600円を06年度以降 5〜6年かけて段階的に引き下げていくよう求めるほか、06年度から企業が 加入権を減価償却 できるように財務省に要望するなど対策を講じる方針だ。

コメント:
 電話加入権の廃止時期にまでふれた記事は、これ以外にはないようですので、本当に2011年廃止なのかはわかりませんが、5年間かけて段階的にというのは、一つのシナリオとしては、ありそうな話です。税務上、2006年度から2011年の廃止時点までの期間で償却することが認められれば、会計処理上もそうする会社が多いかもしれませんが、理屈からすると、廃止が決定した時点を含む年度から、廃止時点(電話加入権を支払わなくても追加料金なしにNTTの電話に加入できるようになる時点)までで償却すべきだと思います。

2004年10月1日 日経金融  「打ち出の小づち」は幻想  ストックオプション費用計上の行方 下

記事要旨:
 ストックオプションは、日本では1997年に解禁された。いち早く導入した企業には、ストックオプションが 既存株主に与える影響を考え始めたところもある。(しかし)大半はまず制度導入ありきで、コストの議論は後手に回っているのが現状だ。
 人事コンサルティング会社、タワーズペリンの櫛笥隆亮氏は「経営者の多くは 費用という意識が希薄 だ」と指摘する。日本では、既存の報酬体系はそのままの状態で、ストックオプションが上乗せ支給される例が多い。そのため米国に比べれば1人当たりの付与は少ないが、経営側の コスト意識も低い。
 米国ではストックオプションの費用計上問題をきっかけに、 現物株の支給 などに軸足を移す動きが広がった。

コメント:
 ストックオプション会計が最終的にどうなるのかは、まだわかりませんが、役員や従業員からサービスの提供を受けて、その見返りに、株主持分の一部を譲り渡す取引であるというストック・オプションの実態は、どんな会計処理を採用しても変わりません。現行基準では損益計算書に計上されないからと行って、野放しにしてよいものではないでしょう。
 記事によると、米国では現物株の支給などに移行する動きがあるそうですが、米国基準では、自社株を支給すれば、当然、その時価金額だけ費用計上されます。日本の現行基準と大きく違う点です。

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